奈良公園の鹿の大好物「鹿せんべい」は、奈良公園の各地にある売店で購入できます。
売店といっても特別な建物があるわけではなく、広い奈良公園の中にぽんと小さなテーブルが置いてあって、看板が立っているだけの簡易的な移動店舗。パイプ椅子に座った売り子さんがひとつひとつ丁寧に手渡しで売っています。自動販売機ではないところがいいですね。
売店の前に、大きな文字で「鹿せんべい」と記された看板が立っているのですぐに見つけることができます。
ちなみに価格は10枚一束200円。2019年までは一束150円だったようですが、原材料の高騰などの理由から値上げされた模様です。
鹿は、観光客がせんべいを買うのを売店の周りで待っています。買った瞬間、鹿に取り囲まれますよ。せんべいの原材料は、米ぬかと小麦粉だけですが、日頃食べている草や木の実と比べると格段においしいのでしょうね。
ところで、奈良公園の鹿は「おじぎ」をするという話ですが実際に見たことがなかったので、今回の旅で鹿のおじぎを見たいなと思っていたんです。運良く東大寺の境内で観光客に向かって、頭を上下に振っておじぎする鹿に遭遇できました。
本当に人間に感謝しているように見える。まるで仏教説話の1シーンが現実化したようでほのぼのとした気分になりました。でも、おじぎをする鹿の感情は「感謝」ではなく「威嚇」に近いそう。「もっとせんべいくれ」と頭を振って要求しているようですね。
おじぎは、人間と共生している奈良の鹿特有の行動なのだとか。不思議なことですが、奈良公園は野生の鹿が人間と日常的に接触する特殊な環境。それが他に類を見ない鹿の行動を生み出したということなのでしょうか...。
それにしても鹿のおじぎのPR力は大きいです。人間にせんべいを買わせる訴求力がずば抜けていました。
(2021年11月撮影 機材:CANON EOS RP)