人丸山は、山というより丘と表現した方がよさそうな低山なので、
道標に従って階段や坂を登ると、あっけないほど簡単に頂上に到着しました。
頂上に展望台があったので、そこから海岸沿いの街並みと明石海峡大橋、淡路島を眺めました。
ほのぼのと 明石の浦の 朝霧に 島隠れゆく 船をしぞ思ふ
歌人・柿本人麻呂の作とされている古今和歌集の歌。海沿いに大小の建物が密集していますが、海の色と淡路島が昔の面影を今に伝えています。
人丸山の頂上には柿本人麻呂を祀る「柿本神社」が鎮座しています。地元の人から「人丸さん」と親しまれ、400年以上の歴史を有する神社です。
柿本神社の境内にある、石造りの狛犬は播磨で最古の作とされ、明石市指定の文化財。たてがみや尾に巻き毛がたくさんある独特の狛犬として知られており、何となく沖縄のシーサーを思い起こさせる赤茶色の風貌。
他にも、神木の柿の木や、赤穂浪士にゆかりのある八房梅など、見どころの多い境内でした。
掃き清められた山門前の石畳。塵ひとつ落ちていないので、清々しい気持ちになりました。
山門の正面に設置された日時計。「時のまち」明石らしいですね。
柿本神社のお隣には、月照寺というお寺があります。
明石城の正門、切手門を移築した山門で有名ですが、個人的には庭園が印象に残りました。水琴窟が妙なる音色を奏で、白砂には流紋が描かれていました。
山を降りようとしていると「スイフヨウを撮りましたか?朝は白、夕方は紅色に変わる花ですよ」と後ろから歩いてきたご夫婦に声をかけられたので、引き返して写真を撮ることに。月照寺の前に白と桃色の花をつけた木がありました。
スイフヨウ(酔芙蓉)はフヨウの園芸品種。夕方にはしぼんでしまう一日花で、朝は白、午後は桃色、夕方は紅色に変化するところから「酔芙蓉」と呼ばれているそうです。
白と桃色の花が同時に咲いているのはまさに目の正月。ちょうど正午ごろに撮影したので、気が早い花が桃色に変化していたのかもしれません。
(2022年9月撮影 機材:Canon EOS M6)