紅葉の名所、手向山麓に鎮まる手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)を訪ねました。
手向山八幡宮は、東大寺を守護するために天平勝宝元年(749年)、九州豊前国(大分県)宇佐八幡宮よりむかえられた神さまです。
百人一首に収録されている和歌「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」は、平安時代の貴族・菅原道真公がこの手向山の紅葉の美しさを詠んだもの。
現代語に訳すると「急な旅なので、道祖神にささげる幣(ぬさ)を持参できませんでした。かわりに手向山の紅葉を捧げます。みこころのままにお受け取りください」となります。
幣「ぬさ」とは、神に祈る時にささげる供え物。平安時代は、道中の安全を祈願して、小さく切った絹布や紙などを入れた「ぬさ袋」を持参して、道祖神の神前でまき散らしていたそうです。
布・紙が普及している今なら簡単に幣をつくれます。貴族階級の菅原道真でも幣を用意できなかったわけですから、平安時代において布・紙は大変な貴重品だったのでしょう。
常夜灯の火袋部に、八幡さまのおつかいの鳩の御紋。
鳩絵馬。二体が向きあってハートをつくっています。恋愛成就や夫婦円満を願うとご利益が期待できそう。
(2022年11月撮影 機材:Canon EOS RP、CANON EOS M6)