2018年8月に訪ねた「アサヒビール大山崎山荘美術館」について
まとめました。
駅から歩くと約15分、無料送迎バスもある
「アサヒビール大山崎山荘美術館」があるのは天王山中腹あたり。
阪急大山崎駅前~JR山崎駅前~同館の間を、無料送迎バスが走っているのですが、
高齢者優先でしたので歩くことに。
JR山崎駅から美術館まで15分ほどだったと思います。
歩ける距離ですが坂道が続きますので、利用できるのであれば
やはりバスを使ったほうが無難かもしれません。
トンネルをくぐって大山崎山荘へ。
イギリスのチューダー・ゴシック様式を基本とした本館は、国の登録有形文化財です。
同館パンフレットによると、関西の実業家 故加賀正太郎氏が、大正から昭和初期にかけて自ら設計、建設した英国風の別荘として「大山崎山荘」を創建。加賀家の手を離れた山荘は、平成に入り取り壊しの危機に晒されます。
そこで、京都府と大山崎町がアサヒビール株式会社に山荘の保存を依頼し、同社と行政が連携して当時の姿を修復、美術館として再生されたようです。
傘や三脚、大きな荷物、刃物などは、館内に持ち込みNG。
レストハウスの無料コインロッカーに、大きな荷物を預け、財布など小物が入ったポーチだけを持って本館入り口に向かいました。
館内は撮影禁止ですが、庭は撮影可能なのでカメラも持参することに。
入り口の前に特注の「泥落とし」
入館前、入り口付近に不思議なものがあることに気付きました。植物のつるのようにクルンとしている金属製の物体・・・アート作品か?
不思議なものの横にあった案内板には
山荘を建てた加賀正太郎氏が特注した「泥落とし」です。ご使用いただけます
「泥落とし」なんて初めて見たので少々困惑。スマホを取り出してググると、イギリスの玄関先には、靴の泥落としがあるという情報が出てきました。靴をはいたまま室内で過ごすわけですから、こうした設備が必要なんでしょうね。
乾いた車道を歩いて来たので、靴に泥は付着してないのですが、特注の泥落としを使えるなんて、めったにない機会。かたちだけですが泥落としを使って英国文化を体感した後に入館。
受付で入館料を支払い、パンフレットを受け取って、アサヒビール株式会社の初代社長 山本為三郎氏から寄贈されたコレクションを鑑賞しました。
館内の天井や壁に「古代中国の画像石」や「筍の浮き彫り彫刻」が施されています。受付でいただいたパンフレットを見ながら、こういった小さな彫刻を探すのも、謎解きめいて楽しい体験でした。
本館2階に絶景を望めるすばらしい喫茶室が
本館2階の喫茶室は、もとは旧加賀夫妻の寝室・テラスとして使われていました。
屋内は満席に近い状態だったのですが、テラス席が空いていたので一休みすることに。テラスは館内で唯一撮影が許されている場所です。
期間限定の特製オリジナルスイーツを注文しようかと思ったのですが、このテラスで景色を楽しみながらお酒をいただきたくなり、ワインとクリームチーズを注文。昼飲みを決行しました。
テラスの前に広がる雄大な眺望を構成するのは、木津川・宇治川・桂川、男山、そして京都と奈良の山々。この絶景を前にして、涼風に吹かれつついただくワインは最高。このテラスの開放感は素晴らしいです。
地中の宝石箱でスイレンを見る
さて、喫茶室を出てほろ酔い気分のまま地中館「地中の宝石箱」へ。地中館は、再建時に新設されたもので安藤忠雄設計の建築物。半地下の展示室に、印象派を代表する画家クロード・モネの「睡蓮」の連作が展示(常設)されており、モネが描いたスイレンの池を鑑賞できます。
「モネの睡蓮を安藤建築の中で鑑賞する」という贅沢を味わった後、庭をひとめぐり。かつて蘭栽培用温室へといたる通路として使われていたという、ガラス張り廊下のかたわらに佇むスイレンの池を眺めました。スイレンの花期は終わっていたので、モネの「睡蓮」との競演を楽しむことはできませんでした。
スイレン池の奥にモミジがあったので、秋はまた違った趣になるはず。次は秋に訪れたいなと思いつつ、ワインと名建築と美術品を楽しめた満足感に浸ってぶらぶらと駅へと向かいました。
(2018年8月撮影 機材:Canon EOS M6)
■アサヒビール大山崎山荘美術館
京都府乙訓郡大山崎町銭原5−3