関西 日帰りカメラ旅

神戸市在住。日帰りで行けるちょっといい場所を訪ねて写真を撮っています。

大正時代の忍者本「忍術の極意」で旅の心得を学ぶ

 

忍術のあれこれを丁寧に解説

忍術に焦点を絞った解説書「忍術の極意」が
発刊されたのは大正6年

古い本ゆえに文体や表現が今の感覚とは異なる。
歯が立たないところは読み飛ばし、
読みやすいところだけ拾い読んでみると
なかなか面白かった。

 


(出典:国立国会図書館デジタルコレクション「忍術の極意」)

著者は評論家・小説家の伊藤銀月氏
「新宿区ゆかりの人物データベース」によると
伊藤銀月氏明治4年生まれ。
秋田県立秋田中学を中退したのちに上京、
27歳のときに「万(よろず)朝報」の記者となり、
小説・歴史・人物論・紀行随筆と多方面で活躍。
晩年は、海賊や忍術の研究に取り組み
忍者本の執筆にも力を注いだようです。

 

(出典:国立国会図書館デジタルコレクション「忍術の極意」)

忍者の旅行教訓歌「空腹で風呂に入るな」「大酒は控えろ」

忍術の略史や、有名忍者の逸話、
「木遁の術」「火遁の術」「星遁の術」など
映画や漫画で馴染み深い忍術が
実際にはどのような技であるかなどが
幅広く解説されていて興味深い。
とくに、旅の教訓が盛り込まれた
42首の「忍者の旅行教訓歌」は面白かった。

・早く立ち早く泊まると云ふ人は旅にて難は無きと知るべし

・道中は一度に物をしたためず休み休みていくたびも食え

・船暈は小便(しょうべん)呑めばなほるなりつよき醋(す)一口飲むもまた好し

・道中で見得飾りする人達は必ず難に遭ふと知るべし

・上戸でも旅で大酒はすべからず折々少し飲めば良薬

・空腹で風呂に入るな殊の外(ことのほか)草臥(くたびれ)たれば熱き湯に入れ

(引用元:国立国会図書館デジタルコレクション「忍術の極意」)

旅行中に注意すべきポイントは、
今も昔も変わらないですね。

空腹時や食後すぐ入浴すると、
血糖値の低下や、めまい、貧血、脱水症状を引き起こす
可能性があることは広く知られています。

「船酔い止めに尿」などちょっと眉唾な教訓も含まれていますが
忍者の旅行教訓歌は現代の旅においても
十分参考になるのではないでしょうか。

長い距離を歩いても疲れない忍者流歩行術

進行方向に対して体を横に向け、
足を交差させながらカニのように横歩きする
忍者式の歩き方も紹介されています。

忍者が横歩きで歩いたときの3歩分は、
普通の歩きかたの5歩に匹敵するそう。
さらに、この歩き方をすると狭い所をスルスル通り抜けられ、
長い距離を疲れずに歩けるとのこと。

 


(出典:国立国会図書館デジタルコレクション「忍術の極意」 トリミングにて引用)

歩き方の挿絵。
簡単に試せそうな動きなので、
立ち上がって横歩きしてみました。
が、私のような凡人が忍者歩きをすると、
普段使っていない筋肉に負担がかかり
変な筋肉痛が起きそう。

慣れない動きが災いして転倒するかもしれないので
少しだけ歩いてやめておきました。

ただ、介護現場では機能回復訓練として横に歩くこともあるので、
体には良い歩き方なのでしょう。

 

ちなみに「忍術の極意」は、
国立国会図書館デジタルコレクションで無料で読めますが、
アマゾンでも電子本(有料)が販売されています。

アマゾンでは「近代になってからはじめて系統的に
忍術について調べたものでその後の忍術本のタネ本にもなった」と
紹介されているので、
忍者通の間では有名本なのかもしれません。

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さて写真ですが
忍者に関連する画像はないかと
フォルダの中をかき分けていると
姫路城の夜桜会で撮った武者の写真が出てきました。
ちょっと強引かもしれませんが、
戦国つながりということでトップに置いてみました。

(2023年4月・9月撮影 機材:Canon EOS M6、Canon EOS RP)

参考資料:
国立国会図書館デジタルコレクション「忍術の極意」
 著者 伊藤銀月 出版 武侠世界社 出版年月日 大正6年
・新宿区ゆかりの人物データベース「伊藤銀月」
ダスキンヘルスレント「入浴前の準備と注意点」

 

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