新川運河(神戸市兵庫区)に架かる
石貼り鉄筋コンクリート造の3連アーチ橋「大輪田橋(おおわだばし)」。
この橋は、大正13(1924)年に建造されました。
西側の親柱。
大輪田橋には、1945年の神戸大空襲の炎による焼け焦げ跡が
今も残されています。
1995年に発生した阪神淡路大震災で3本の親柱が崩落。
西側の親柱の上部は失われています。
崩落を免れた東側の親柱の上部には
長い柱が残されています。
震災前は、すべての親柱がこのような状態だったのでしょう。
この親柱は現在「戦災と震災のモニュメント」として、
上部4面に照明が埋め込まれた状態で保存されています。
照明が形づくるのは、
戦災のあった3月と、震災のあった1月の星座。
戦災と震災を記憶し、
後世へと伝える役割を果たしています。
モニュメントと橋の表面を見渡すと、ところどころにカタツムリのオブジェが。
何これ?
調べてみると、作者はポートアイランドの「かたつむりの広場」を制作した
環境造形Qのメンバー、小林陸一郎氏。
「戦災と震災のモニュメント」に施されたカタツムリには、
「カタツムリが生息できる空気と水がある場所であるように」
という願いが込められています。
モニュメントの表面を歩くカタツムリ。
たしかに、動きが遅いカタツムリにも
居場所がある環境は安全で平和ですね。
大輪田水門正面のイラストは、ハートをモチーフにした
兵庫区のシンボルキャラクター「ハートン」。
兵庫区の頭文字「ひ」と「やさしさと思いやり」をかたちにしたゆるキャラで、
特技はタップダンスとムーンウォーク。
公式では、狭いところを通るのが苦手で、
転ぶと起き上がれないなど、
詳細なキャラ設定がされていました。
テーマソング「ハートン明日へジャンプ」という
テーマソングまで公開されていたのはちょっとした驚き。
大輪田橋の西にある兵庫住吉神社には、
兵庫津・大輪田の泊を整備した平清盛像と十三重の石造が設置されています。
ここに置かれた清盛像は、手のひらを天に向けて
瞑想するかのような晩年の姿です。
作者は神戸出身の彫刻家・柳原義達氏。
兵庫区には清盛像が5体あります。
清盛は武将ですので、躍動感が感じられる像が多いのですが、
兵庫住吉神社の清盛像は、他の像とは異なる
独特の存在感を放っています。
柔和な表情、肩の力が抜けた立ち姿からは、
武将らしい気迫はまるで感じられません。
黙祷中のようにも見えますね。
(2021年8月撮影 機材:Canon EOS M6)